「北海道にはスギ花粉症はない」──そんな話を、昔どこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、私自身も過去に札幌市出身の同僚からそう聞かされ、「それなら花粉症持ちには北海道勤務は天国かもしれない」と本気で思った記憶があります。
ところが最近、北海道在住の方と花粉症の話をする中で、その認識が大きな誤解だったことを知りました。北海道にも花粉はあり、しかも本州とは種類も時期も違う、独特の花粉症事情が存在していたのです。
特に衝撃だったのが、「シラカバ花粉症」という存在でした。
北海道特有の花粉症「シラカバ花粉症」とは

北海道の花粉症と聞いて、真っ先に名前が挙がるのがシラカバ花粉です。シラカバとは、その名のとおり白樺のことで、北海道では街路樹や自然林として広く分布しています。
このシラカバが、5月下旬から6月初旬にかけて大量の花粉を飛ばします。時期としては、本州のスギ・ヒノキ花粉がほぼ終わった頃です。そのため「春の花粉症が終わったと思ったら、また症状が出てきた」という形で気づく方も少なくありません。
シラカバ花粉症の症状は、スギ花粉症とほぼ同じです。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが代表的で、人によっては咳や喉の違和感が強く出ることもあります。
北海道在住の方の話では、すでに花粉が飛び始めると、日常生活に支障が出るほどつらい状態になることも珍しくないそうです。
「北海道にスギ花粉症はない」は本当か
よく語られる「北海道にはスギ花粉症がない」という話ですが、これは半分正解で、半分誤解です。
確かに北海道は本州と比べてスギの植林が少なく、飛散量もかなり少なめです。そのため、重度のスギ花粉症の人にとっては症状が軽くなるケースが多く、「ない」と感じる人がいるのも事実です。
しかし、スギそのものが存在しないわけではありません。実際に北海道でもスギ花粉症の方はいますし、症状が出る人もいます。ただし数が少ないため、地域全体としては目立ちにくい、というのが実情です。
つまり、「北海道=花粉症ゼロ」では決してありません。
北海道で多い花粉の種類と時期

北海道の花粉症を理解するうえで重要なのは、「スギ以外の花粉が主役」だという点です。
代表的なものを整理すると、次のようになります。
ハンノキ花粉(3月〜4月下旬)
北海道の春先、3月から4月に飛んでいる花粉の多くは、実はスギではなくハンノキ花粉です。この時期に鼻水や目のかゆみが出ると、「スギ花粉症だ」と思い込んでしまいがちですが、北海道ではハンノキが原因であるケースが非常に多いとされています。
この誤解は治療や対策の遅れにつながるため、特に注意が必要なポイントです。
シラカバ花粉(5月下旬〜6月初旬)
北海道を代表する花粉症が、このシラカバ花粉症です。本州から移住してきた人が「北海道で初めて花粉症になった」という場合、その原因がシラカバであることも珍しくありません。
カモガヤ花粉(5月下旬〜10月頃)
カモガヤはイネ科の雑草で、北海道だけでなく全国に分布しています。ただし北海道では飛散期間が非常に長く、5月下旬から秋まで続くのが特徴です。
症状が強く出やすく、長期間続くため、カモガヤ花粉症の方はかなりつらい思いをします。春から秋にかけて断続的に症状が出る場合、この花粉が原因である可能性は高いです。
ヨモギ花粉(8月中旬〜10月初旬)
意外に知られていませんが、ヨモギも花粉症の原因になります。夏の終わりから秋にかけて症状が出る場合、ヨモギ花粉が関与しているケースもあります。
「自分は何の花粉症か分からない」問題

花粉症の大きな落とし穴は、「原因となる花粉を勘違いしている」ことです。北海道では特に、スギ花粉症だと思っていたら実はハンノキ、春が終わったと思ったらシラカバ、秋の症状はカモガヤやヨモギ・・・・という具合に、時期と花粉のズレが頻発します。
私自身も、スギとヒノキの花粉症だと自覚していますが、毎年10月頃に原因不明の強い症状が出ます。今回の話を聞いて、それがカモガヤ花粉症の可能性があると気づきました。
このように、「毎年出るけど理由が分からない症状」は、別の花粉が原因である可能性を疑う必要があります。
誤解を防ぐために知っておくべき重要な点
北海道の花粉症で最も注意すべきなのは、「スギ花粉症前提で考えないこと」です。症状の時期と地域性を無視すると、対策のタイミングを誤り、薬の効果が出にくくなります。
また、「北海道は花粉が少ないから大丈夫」と油断していると、シラカバやイネ科花粉で突然重い症状が出ることもあります。移住や長期滞在を考えている方ほど、事前に花粉カレンダーを確認しておくことが重要です。
必要に応じてアレルギー検査を受け、自分がどの花粉に反応しているのかを把握することが、最も確実な判断ミス防止策になります。
まとめ
北海道にも花粉症はあり、しかもその中心はスギではなく、シラカバ・ハンノキ・カモガヤ・ヨモギといった多様な花粉です。「北海道=花粉症がない」という思い込みは、症状悪化や対策遅れにつながります。
季節ごとの症状を正しく理解し、自分の体の反応を見極めることが、北海道の花粉症と上手につき合うための第一歩です。知らないままでいることが、最も大きなリスクになる──その点だけは、ぜひ覚えておいてください。


