重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニが媒介する致死率の高いウイルス感染症です。感染すると、発熱や倦怠感などの軽い症状から始まり、次第に血小板や白血球が急激に減少し、多臓器不全や意識障害、出血症状を引き起こすことがあります。致死率は国内でおよそ20%前後とされ、特に高齢者や免疫力が低下している人では命を落とすケースも少なくありません。
さらに恐ろしいのは、治療薬やワクチンが存在しないという現実です。感染が確認されても、医療現場では症状を和らげるための対症療法しか行えないのが現状です。つまり、「感染したら運次第」ではなく、「感染しない努力をする」しかないという、極めて厳しい病気なのです。
SFTSウイルス 特効薬やワクチンが存在しない
SFTSウイルスは、「SFTSウイルス(SFTSV)」を持つマダニに咬まれることで感染します。感染者の多くは発熱や食欲不振、嘔吐、腹痛などの症状を発症し、さらに重症化すると血小板や白血球の減少、意識障害、出血傾向などを引き起こします。致死率は10~30%と高く、現時点では特効薬やワクチンが存在しません。そのため、何よりも「予防」が最も重要なのです。
春から秋にかけてマダニの活動が活発に
たとえば、福岡県や山口県では、春から秋にかけてマダニの活動が活発になります。
登山やキャンプ、草刈り、犬の散歩など、身近な日常でも感染リスクがあります。
実際に、九州地方では高齢者を中心にSFTSによる死亡例が毎年報告されています。
感染を防ぐためには、以下のような対策が効果的です。
● 長袖・長ズボン・帽子などで肌の露出を避ける
● 明るい色の服を選び、マダニを目視しやすくする
● 虫よけスプレーを衣服や肌にまんべんなく使用する
● 屋外活動後はすぐに入浴し、マダニの付着を確認する
● ペット(特に犬や猫)にもマダニ予防薬を使用する
もしマダニに咬まれた場合、無理に引き抜くと口器が皮膚内に残る危険があります。必ず医療機関を受診し、医師に安全に除去してもらうことが重要です。
まとめ
SFTSは決して「田舎だけの病気」ではありません。都市近郊の公園や河川敷でもマダニは確認されています。「自分は大丈夫」と思わず、日常的にマダニ対策を行うことこそが命を守る第一歩です。外で活動する際は、服装・虫よけ・帰宅後のチェックを習慣化し、家族全員で感染症から身を守りましょう。


