損害保険大手4社が自動車保険料を値上げへ|最高益でも上がる本当の理由

社会・経済

自動車保険料が、また上がる見通しです。
2025年1月を目途に、損害保険会社の大手が自動車保険料を引き上げる方針を示しました。

物価高、光熱費の上昇、食料品の値上げが続く中での保険料アップは、多くの家庭にとって無視できない負担になります。
しかも今回は、「事故増加」「インフレによるコスト増」という説明がなされる一方で、親会社決算は過去最高益という、違和感の残る状況です。

この値上げは本当に避けられないものなのか。
どこまでが事実で、どこからが企業側の論理なのか。
そして、契約者側は何を知らないままだと損をするのか。

感情論に流されすぎず、しかし現実的な家計目線を忘れずに整理していきます。

損害保険会社大手4社と親会社3社の構造

まず、今回の値上げ方針を示している「損害保険会社大手4社」を整理します。

東京海上日動火災保険

三井住友海上火災保険

あいおいニッセイ同和損害保険

損害保険ジャパン

これら4社は、実はそれぞれ独立した存在ではありません。 親会社(持ち株会社)は次の3社に集約されています。

東京海上ホールディングス

MS&ADインシュアランスホールディングス

SOMPOホールディングス

保険料の改定方針は、現場レベルではなく、最終的にはこの親会社の経営判断が大きく影響します。 そのため、子会社の「保険料が厳しい」という説明と、親会社の「業績が好調」という発表は、切り離して考えることができません。

決算は過去最高益、それでも値上げする理由

2024年3月期の決算で、親会社3社はそろって過去最高水準の純利益を発表しました。

・東京海上ホールディングス:6,958億円

・MS&ADインシュアランスホールディングス:3,692億円

・SOMPOホールディングス:4,160億円

数字だけを見ると、「余力は十分にあるのではないか」と感じる人が多いはずです。 それでも各社が値上げの理由として挙げているのが、次の3点です。

① 交通事故の増加

コロナ禍で外出や移動が減っていた時期が終わり、交通量が回復したことで事故件数が増加している、という説明です。

これは事実として一定の裏付けがあります。 事故件数が増えれば、当然ながら保険金の支払額も増えます。

② インフレによる修理費・人件費の上昇

ここで言われている「材料費」とは、車そのものの部品代です。 バンパー、ライト、電子制御部品、センサー類など、現在の自動車は高額部品の塊です。

さらに、修理工場の人手不足により、整備士の人件費も上昇しています。 同じ事故でも、10年前より修理費が高くなる構造になっています。

③ 自動車保険単体の収益悪化

重要なのは、「グループ全体が儲かっている」ことと、「自動車保険部門が儲かっている」ことは別、という点です。

火災保険、海外保険、投資収益などが好調でも、自動車保険部門だけを見ると利益率が低下している、というのが各社の説明です。

それでも残る違和感と、見落としがちな論点

理屈としては理解できる部分もありますが、納得しきれない点が残ります。

第一に、グループ全体で過去最高益を出しているにもかかわらず、その調整弁が契約者側に集中している点です。

第二に、「人件費が上がっている」という説明です。 確かに保険会社の社員給与は上昇傾向にありますが、日本全体で見れば実質賃金は伸び悩んでいます

生活が苦しくなっている層ほど、保険料の値上げの影響を強く受けます。 このギャップに不満が生じるのは、自然な反応でしょう。

知らないと損をする自動車保険の現実

値上げ自体は避けられない流れだとしても、何も考えずに受け入れる必要はありません。

保険料は一律ではない

自動車保険料は、年齢、事故歴、車種、走行距離、補償内容によって大きく変わります。 値上げ率が同じでも、実際の負担増は人によって差があります。

補償内容の見直し余地

車両保険を付けたまま、車の価値が大きく下がっているケースは珍しくありません。 免責金額や特約を見直すだけで、負担を抑えられる場合があります。

更新時に何もしないのが一番不利

多くの人は、更新案内をそのまま受け入れています。 しかし、更新は「条件を見直せる唯一のタイミング」でもあります。

まとめ

自動車保険料の値上げは、感情的に反発しても止められるものではありません。
一方で、企業側の説明をそのまま受け取るだけでは、判断を誤る可能性があります。

・親会社は過去最高益を出している
・自動車保険部門はコスト増で厳しい
・値上げは既に現実として進行している

この3点を冷静に理解したうえで、契約内容を主体的に見直すことが、現実的な対抗策になります。

何も知らずに更新するか、仕組みを理解した上で選び直すか。
その差は、数年後の家計に確実に表れてきます。

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