ZTE製WiFiルーターは危険なのか?数年更新なしの不安とSIM差し替えの現実
自宅や外出先で使っているWiFiルーターのメーカーを確認したところ、「ZTE」と表示されていて不安になった方もいるかもしれません。ZTEは中国の大手通信機器メーカーであり、同じく中国企業であるHuaweiと並んで、通信インフラやセキュリティの文脈で名前が挙がることの多い企業です。
そのため、「ZTE製のWiFiを使っていたということは、すでに情報が漏れていたのではないか」「スマホやパソコンの通信内容が全部見られていたのではないか」と心配になるのも自然です。特に、ルーターのファームウェア更新日を確認して、最終更新が数年前で止まっている場合、不安はさらに大きくなります。
ただし、最初に冷静に整理しておきたいのは、ZTE製WiFiルーターを使っていたからといって、直ちに個人情報がダダ漏れだったとは断定できないという点です。メーカーへの不信感と、実際に情報漏洩が起きていたかどうかは、分けて考える必要があります。
この記事では、ZTE製WiFiルーターへの不安、数年ファームウェア更新がない状態のリスク、そしてSIMカードだけを残して別の機器へ変更できるのかについて、現実的な視点で整理します。
ZTEはHuaweiの子会社ではなく別会社
まず前提として、ZTEはHuaweiの子会社ではありません。ZTEは中国の通信機器メーカーで、正式にはZTE Corporation、日本語では中興通訊と呼ばれる企業です。一方、Huaweiも中国の大手通信機器メーカーですが、両社は親子会社関係ではなく、同じ中国系の通信機器大手として並べて語られることが多い企業です。
つまり、ZTEとHuaweiは同業の中国通信機器メーカーであり、混同されやすいものの、会社としては別です。
ただし、海外ではZTEとHuaweiが安全保障上の懸念として同じ文脈で扱われることがあります。通信インフラ、5G設備、政府機関、重要施設などに関わる機器として、中国系メーカーの製品が問題視される場面があるためです。
そのため、「ZTEという名前を見て不安になる」という感覚自体は、決して不自然ではありません。特にWiFiルーターは、自宅のスマホ、パソコン、タブレット、ネットサービスへの接続をまとめて通す機器です。通信の入口にある機器だからこそ、信頼できるかどうかは重要です。
ZTE製WiFiを使っていたら情報は漏れていたのか
最も気になるのは、「ZTE製WiFiを使っていたことで、すでに情報が漏れていたのか」という点だと思います。
結論から言えば、ZTE製だから即座に情報漏洩していたとは言えません。家庭用のWiFiルーターやモバイルルーターを使っていたからといって、メール、写真、銀行情報、パスワード、WordPressの管理画面情報などが自動的に抜かれていたと決めつけるのは早計です。
現在のインターネット通信では、多くのサイトやアプリがHTTPSによって暗号化されています。そのため、単にWiFiルーターを通過しただけで、通信内容がそのまま丸見えになるわけではありません。たとえば、銀行サイト、Google、Amazon、楽天、WordPress管理画面などは、基本的に暗号化された通信を行います。
ただし、だからといって完全に安心してよいわけでもありません。ルーターは家庭内ネットワークの入口であり、管理画面のパスワードが初期設定のままだったり、ファームウェアが古かったり、リモート管理機能が有効だったりすると、外部から狙われるリスクが高まります。
つまり問題は、「ZTEだから即危険」ではなく、「古いルーターを安全設定なしで使い続けることが危険」という点にあります。
ファームウェアの最終更新が3~4年前ということは古いのか
WiFiルーターの管理画面で確認したところ、ファームウェアの最新更新日が3~4年前だった場合、2026年時点では約3~4年更新がないことになります。
これは、正直に言えばセキュリティ面ではかなり気持ち悪い状態です。
もちろん、ルーターのファームウェアはスマホアプリのように頻繁に更新されるものではありません。メーカーによっては、不具合や脆弱性が見つからない限り、数年間アップデートが出ないこともあります。そのため、3~4年更新がないからといって、今すぐ侵入されている、情報が抜かれている、と断定することはできません。
しかし、ルーターはネットワークの入口になる機器です。パソコンやスマホ本体だけでなく、家中の通信がその機器を経由する可能性があります。そこに長期間セキュリティ更新がないというのは、安心して使い続けるには不安が残ります。
特に、メーカーが積極的に更新を提供していない、あるいは機種が古くなって事実上サポート終了に近い状態であれば、今後新しい脆弱性が見つかっても修正されない可能性があります。
そのため、今回のように「ZTE製であることが不安」「ファームウェア更新が3~4年止まっている」「ネットワーク機器として信用しきれない」という条件がそろっているなら、設定を固めて延命するより、機器交換を検討した方が現実的です。
交換するなら普通のWiFiルーターではなくSIM対応機器が必要
ここで注意したいのが、「WiFiルーターを交換する」と言っても、すべてのルーターが同じではないという点です。
一般的に家電量販店で売られているNEC、バッファロー、IODATA、ASUSなどのWiFiルーターは、多くの場合、光回線のONUやモデムにLANケーブルで接続して、家の中にWiFiを飛ばすための機器です。
このタイプのルーターには、基本的にSIMカードを挿す場所がありません。つまり、現在使っているZTE製機器がSIMカードを挿して通信するモバイルWiFiやホームルーターである場合、普通の無線LANルーターを買っても、そのSIMを挿して使うことはできません。
SIMカードをそのまま使いたい場合に選ぶべきなのは、SIMフリー対応のモバイルルーター、SIMフリー対応のホームルーター、またはLTE・5G対応ルーターです。
この点を間違えると、「ZTEから別メーカーに替えたつもりなのに、SIMが入らない」「ネットにつながらない」ということになります。
SIMだけ同じで機器だけ変更できる可能性はある
現在のZTE製WiFi機器に物理SIMカードが入っている場合、そのSIMを抜いて、別のSIMフリー対応ルーターに挿せば使える可能性があります。
ただし、SIMを差し替えれば必ず使えるわけではありません。ここはかなり重要です。
必要になる確認ポイントは、主に以下です。
また、4Gと5Gでは実際の接続安定性に差を感じる場面もあります。スマホで5G接続が安定した体験については、別記事でも詳しくまとめています。
スマホで5Gが会社でも安定接続!ようやく感じる次世代通信の恩恵
契約しているSIMが他の端末で使えるか
通信会社やプランによっては、SIMカードを自由に別端末で使える場合もあれば、指定端末での利用を前提にしている場合もあります。特にホームルーター系の契約では、契約上の制限があることも考えられます。
そのため、まずは契約している通信会社のマイページやサポート情報で、SIM差し替え利用が可能かを確認する必要があります。
APN設定が分かるか
SIMフリールーターにSIMを挿しただけでは通信できない場合があります。その場合は、APNと呼ばれる接続設定を手動で入力する必要があります。
APNには、接続先名、ユーザー名、パスワード、認証方式などが含まれる場合があります。通信会社によって設定内容が違うため、契約先が公開しているAPN情報を確認する必要があります。
つまり、SIM差し替えを考えるなら、APN設定を自分で入力できるルーターを選ぶことが重要です。
対応バンドが合っているか
モバイル回線には、通信会社ごとに利用している周波数帯、いわゆるバンドがあります。買い替え先のルーターが、その通信会社の主要バンドに対応していないと、圏外になったり、通信が不安定になったり、速度が出なかったりします。
たとえば、ドコモ系、au系、ソフトバンク系、楽天モバイル系では重視すべきバンドが異なります。SIMフリールーターを選ぶ場合は、価格やメーカー名だけでなく、自分の使っている回線の対応バンドに合っているかを確認することが欠かせません。
モバイル回線の不安定さについては、実際に楽天モバイルの4G接続が弱くなった体験を整理した記事でも詳しく触れています。通信機器の交換を考える場合は、端末だけでなく回線側の電波状況も合わせて確認しておくと安心です。
【体験談】東京なのに楽天モバイル圏外寸前・・・4Gが急に弱くなった理由を冷静に整理する
SIMサイズが合っているか
SIMカードには、標準SIM、microSIM、nanoSIMなどのサイズがあります。最近はnanoSIMが多いですが、古い機器や一部ルーターでは別サイズの場合もあります。
サイズが合わない場合、変換アダプターを使えることもありますが、無理に使うとSIMスロットを破損する可能性もあります。買い替え前に、現在のSIMサイズと新しいルーターの対応SIMサイズを確認しておくべきです。
今のZTE WiFiで最低限やっておきたい設定
すぐに機器を交換できない場合でも、最低限のセキュリティ対策はしておいた方がよいです。
まず重要なのは、ルーター管理画面のパスワード変更です。これはWiFiに接続するためのパスワードではなく、ルーターの設定画面にログインするための管理者パスワードです。初期設定のまま使っている場合は、必ず変更した方がよいです。
次に、WiFi接続用パスワードの変更です。短いパスワードや推測されやすい文字列は避け、長めで複雑なものに変更します。暗号化方式は、可能であればWPA3、少なくともWPA2-AESを使うべきです。
また、WPSはオフにするのが無難です。WPSはボタンやPINで簡単にWiFi接続できる便利機能ですが、セキュリティ重視なら不要です。
さらに、リモート管理機能がオンになっている場合は、オフにした方が安全です。外部からルーター管理画面にアクセスできる設定は、攻撃対象を広げる可能性があります。
UPnPについても、使っていないならオフを検討してよい機能です。ゲーム機や一部アプリで必要になることはありますが、不要な環境ではリスクを減らすために無効化した方が堅実です。
ルーター側の対策に加えて、パソコン側のセキュリティソフトで検出された脅威をどう扱うかも確認しておくと安心です。隔離されたウイルスを削除すべきか迷う場合は、以下の記事も参考になります。
ESETスマートセキュリティで隔離されたウイルスは削除すべき?放置しても大丈夫?
ZTE製WiFiは使い続けるべきか、交換すべきか
今回のように、ZTE製であることに不信感があり、さらにファームウェアの最新更新日が数年前で止まっている場合、個人的には交換寄りで考えるのが妥当だと思います。
もちろん、現在トラブルが起きていないなら、すぐに通信内容が漏れていると決めつける必要はありません。焦って全アカウントのパスワードを一気に変えたり、過度に不安になる必要もありません。
しかし、ネットワーク機器は毎日使うものです。スマホ、パソコン、タブレット、ネットショッピング、メール、クラウド、WordPress管理画面など、多くの通信がその機器を通ります。
その入口となる機器に対して「信用できない」と感じているなら、設定だけで延命するより、信頼できる別機器へ交換した方が精神的にも安全面でもすっきりします。
ただし、SIMカードを使うタイプのZTE WiFiであれば、買うべきなのは普通の家庭用WiFiルーターではありません。SIMフリー対応のモバイルルーター、ホームルーター、LTE・5G対応ルーターを選ぶ必要があります。
購入前には、契約している通信会社名、プラン名、SIMサイズ、APN設定、対応バンドを確認しておくことが重要です。ここを確認せずに買うと、機器は届いたのに通信できないという失敗につながります。
まとめ
ZTE製WiFiルーターを使っていたからといって、すでに情報がダダ漏れだったと断定することはできません。現在の多くの通信は暗号化されており、ルーターを通っただけで全情報が丸見えになるわけではありません。
しかし、ZTEが中国の通信機器メーカーであることに不信感を持つのは自然です。さらに、ファームウェアの最新更新日が数年前で止まっているなら、セキュリティ面で不安を感じるのも妥当です。
特にWiFiルーターは、家庭内ネットワークの入口になる機器です。古いファームウェア、初期パスワード、WPS有効、リモート管理有効といった状態で使い続けるのは避けた方がよいです。
すぐにできる対策としては、管理画面パスワードの変更、WiFiパスワードの変更、WPSの無効化、リモート管理の無効化、不要なUPnPの無効化があります。
一方で、根本的に不安をなくしたいなら、ZTE製機器を使い続けるより、別メーカーのSIMフリー対応ルーターへ交換する方が現実的です。ただし、SIMカードをそのまま使う場合は、普通のWiFiルーターではなく、SIMフリー対応のモバイルルーターやホームルーターを選ぶ必要があります。
今回の判断を一言でまとめるなら、「情報漏洩確定ではないが、数年更新なしのZTE製WiFiを今後も信用して使い続ける理由は弱い」ということです。不安を抱えながら使い続けるより、契約SIMに対応した安全性の高い機器へ交換する方が、長期的には納得しやすい選択だと思います。

