傷病手当金を申請するには?必要書類・医師証明・会社記入の流れを解説
病気やケガで仕事を休むことになったとき、生活費を支える制度として利用されるのが傷病手当金です。
うつ病や適応障害などの心の不調で休職する場合でも、医師が働けない状態だと判断し、健康保険の条件を満たしていれば、傷病手当金の対象になる可能性があります。
しかし、傷病手当金は自動的に振り込まれるものではありません。
本人が申請書を用意し、医師に証明を書いてもらい、会社にも勤務状況や給与の有無を記入してもらったうえで、加入している健康保険へ提出する必要があります。
傷病手当金は「休んでいれば勝手にもらえるお金」ではなく、申請して初めて審査される制度です。
そのため、申請の流れを知らないまま休職に入ると、書類の準備が遅れ、支給まで時間がかかってしまうことがあります。
この記事では、傷病手当金の申請方法について、診断書との違い、医師の記入、会社の記入、提出先まで、実務の流れに沿ってわかりやすく解説します。
傷病手当金の申請に必要な基本の流れ
傷病手当金の申請は、いくつかの手順に分かれています。
大まかな流れは、申請書を入手し、本人が必要事項を記入し、医師に労務不能の証明を書いてもらい、会社に勤務状況や給与支払いの有無を記入してもらい、最後に健康保険へ提出するという形です。
一見すると難しそうに見えますが、順番に進めれば特別な知識がなくても対応できます。
ただし、医師と会社の記入が必要になるため、自分だけで完結できる手続きではありません。
傷病手当金の申請で重要なのは、「本人・医師・会社」の3者の記入がそろってから提出することです。
まず申請書を入手する
最初に必要になるのは、傷病手当金支給申請書です。
協会けんぽに加入している場合は、協会けんぽのホームページから申請書をダウンロードできます。会社の総務や人事が用意してくれる場合もあります。
健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合のホームページや会社の担当部署から申請書を入手します。
正社員・契約社員・派遣社員ごとの傷病手当金の条件や注意点を先に整理したい方は、正社員・契約社員・派遣社員で違う?傷病手当金の条件と注意点を解説もあわせて参考にしてください。
申請書の様式は加入している健康保険によって異なる場合があるため、別の健康保険の申請書を使わないよう注意しましょう。
迷った場合は、会社の人事・総務に「傷病手当金を申請したいので、申請書の入手先を教えてください」と確認するのが確実です。
本人記入欄を書く
申請書には、まず本人が記入する欄があります。
氏名、住所、生年月日、被保険者情報、振込先口座、申請期間、病名や発病時期などを記入するのが一般的です。
特に大切なのが、申請期間です。
傷病手当金は、いつからいつまで働けなかったのかをもとに審査されます。そのため、医師の証明や会社の勤務状況と期間がずれていると、確認に時間がかかることがあります。
本人記入欄・医師記入欄・会社記入欄の申請期間は、できるだけ一致させることが重要です。
不安な場合は、先に会社や健康保険へ確認してから記入すると安心です。
診断書と傷病手当金申請書は同じではない
傷病手当金の申請でよくある勘違いが、「診断書があれば申請できる」というものです。
診断書は、医師が病名や休養の必要性を会社に伝えるために作成する書類です。
一方、傷病手当金支給申請書は、健康保険へ給付を申請するための書類です。
つまり、診断書と傷病手当金の申請書は目的が違います。
会社に提出する診断書だけでは、傷病手当金の申請は完了しません。
診断書は休職のための書類
うつ病や適応障害などで休職する場合、会社から診断書の提出を求められることがあります。
診断書には、「一定期間の休養を要する」「就労が困難である」といった内容が書かれることが一般的です。
これは会社が休職を認めるかどうか、休職期間をどう扱うかを判断するための資料になります。
診断書を提出したからといって、自動的に傷病手当金が振り込まれるわけではありません。
傷病手当金申請書には医師の証明が必要
傷病手当金を受け取るには、申請書の中にある医師の証明欄を記入してもらう必要があります。
この欄では、療養のため働けなかった期間、診療日、病状、労務不能と認めた期間などが記入されます。
医師の証明は、傷病手当金の審査において非常に重要です。
診断書とは別に記入料がかかる場合もあるため、通院先の受付で「傷病手当金の申請書を書いてほしい」と伝えて確認しましょう。
また、医師は未来の期間について証明できないことがあります。多くの場合、実際に診察し、療養した期間について証明する流れになります。
会社記入欄では何を書いてもらうのか
傷病手当金の申請では、会社にも記入してもらう欄があります。
会社記入欄では、主に勤務状況、休んだ日、出勤した日、給与の支払い状況などが確認されます。
これは、傷病手当金が「働けず、給与が支払われない場合」に支給される制度だからです。
会社が記入する内容によって、支給対象日や支給額に影響することがあります。
勤務状況と給与支払いの有無を証明する
会社は、申請期間中に本人が出勤したか、欠勤したか、有給休暇を使ったか、給与や手当が支払われたかなどを記入します。
たとえば、有給休暇を使って給与が支払われている日は、傷病手当金の対象にならないことが一般的です。
休職中の生活費や、会社からの給料と傷病手当金の違いを詳しく知りたい方は、うつ病・適応障害で休職すると生活費はどうなる?傷病手当金と給料の違いも確認しておくと安心です。
一方、無給で休んでいる期間については、条件を満たせば支給対象になります。
会社記入欄は、傷病手当金が支給される日数や金額を判断するための重要な部分です。
会社への依頼は早めに行う
会社の記入には時間がかかることがあります。
特に給与計算の締め日や人事・総務の処理状況によっては、すぐに記入してもらえない場合もあります。
休職中は会社に連絡すること自体が負担になることもありますが、申請が遅れると支給も遅れます。
メールや社内連絡ツールで、「傷病手当金支給申請書の事業主記入欄の記入をお願いします」と伝えれば十分です。
無理に細かく事情を説明する必要はありません。必要なのは、申請書への記入を依頼することです。
傷病手当金の提出先はどこか
申請書の本人記入欄、医師記入欄、会社記入欄がそろったら、加入している健康保険へ提出します。
提出先は、どの健康保険に加入しているかによって変わります。
退職後も傷病手当金を受け取れる条件や、契約満了・派遣切り・雇止め時の注意点を知りたい方は、退職後も傷病手当金はもらえる?契約満了・派遣切り・雇止めの注意点もあわせてご覧ください。
協会けんぽに加入している場合は、加入している協会けんぽの都道府県支部が提出先になります。
健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合が提出先です。
会社経由で提出するケースもありますが、自分で郵送するケースもあります。
提出先を間違えると手続きが遅れる可能性があるため、必ず加入している健康保険を確認しましょう。
協会けんぽの場合
協会けんぽの場合、紙の申請書は加入している協会けんぽ支部へ郵送します。
加入支部は、資格情報のお知らせや資格確認書などで確認できます。
また、協会けんぽでは申請書を郵送で提出できるため、窓口まで行く必要はありません。
体調が悪いときに外出するのは負担になるため、郵送で手続きできる点は大きなメリットです。
健康保険組合の場合
会社独自の健康保険組合に加入している場合は、その組合のルールに従って提出します。
提出先が会社の人事部なのか、健康保険組合へ直接郵送するのかは、組合によって異なります。
申請書の様式、締め日、添付書類、提出方法も違う場合があるため、会社や健康保険組合の案内を確認しましょう。
申請するときに注意したいポイント
傷病手当金の申請では、書類を出せば必ずすぐに支給されるわけではありません。
内容に不備があれば、確認や差し戻しが発生し、支給まで時間がかかることがあります。
休職中の生活費に関わるため、できるだけ不備を減らすことが大切です。
申請期間をそろえる
よくある不備のひとつが、申請期間のずれです。
本人が書いた期間、医師が証明した期間、会社が記入した勤務状況の期間が合っていないと、確認に時間がかかる可能性があります。
たとえば、本人は1か月分を申請しているのに、医師の証明が途中までしかない場合、その期間全体がスムーズに審査されないことがあります。
申請前に、期間が一致しているかを確認しましょう。
初回申請は特に時間に余裕を持つ
初めて傷病手当金を申請するときは、書類の流れに慣れていないため、想像以上に時間がかかることがあります。
医師の記入、会社の記入、郵送、健康保険側の審査が必要になるためです。
初回は特に、早めに申請書を入手し、通院時に医師へ依頼し、会社にも早めに連絡しておくことが大切です。
生活費に不安がある場合ほど、支給日を待つのではなく、申請準備を早く始めることが重要です。
長期休職では月ごとに申請することが多い
休職が長引く場合、傷病手当金は1回だけ申請して終わりではなく、一定期間ごとに申請を繰り返すことが一般的です。
実務上は、給与の締め日などに合わせて1か月ごとに申請するケースが多く見られます。
毎回、医師の証明や会社の勤務状況確認が必要になるため、次回以降の申請時期も意識しておきましょう。
「いつ病院で書いてもらうか」「いつ会社に送るか」「いつ提出するか」を決めておくと、支給の遅れを減らしやすくなります。
まとめ
傷病手当金は、病気やケガで働けないときの生活を支える大切な制度です。
しかし、自動的に支給されるものではなく、申請書を用意し、本人・医師・会社の記入をそろえたうえで、加入している健康保険へ提出する必要があります。
診断書は休職のために会社へ提出する書類であり、傷病手当金の申請書とは別物です。
傷病手当金を受け取るには、申請書の医師記入欄に、働けなかった期間や労務不能の証明を書いてもらう必要があります。
また、会社記入欄では、勤務状況や給与支払いの有無を証明してもらいます。
提出先は、協会けんぽなら加入している都道府県支部、健康保険組合なら所属する組合です。
傷病手当金の申請で大切なのは、申請書の入手、医師への依頼、会社への記入依頼、提出先の確認を早めに進めることです。
体調が悪いときほど手続きは負担に感じますが、生活費の不安を減らすためにも、流れを理解して一つずつ進めていきましょう。


