歌詞は『金がすべて』。でもMVの結末は・・・?マドンナが仕掛けた、恋の高度な心理戦
1984年に発表されたマドンナの代表曲「Material Girl」。きらびやかな映像と挑発的な歌詞で語られるこの楽曲は、単なる拝金主義ソングでは終わりません。まずは公式MVを観てから、その本当の意味を考えてみましょう。
Madonna – Material Girl (Official Video) [HD]
Material Girlとは?歌詞と映像が示す徹底した価値観
Madonna の代表曲のひとつ
Material Girl は、1980年代ポップカルチャーを象徴する一曲として今なお語り継がれています。きらびやかな映像、挑発的な歌詞、そして計算されたセルフプロデュース。そのすべてが当時の空気を凝縮した作品です。
「Material Girl」とは、一言で言えば「物質主義的な女の子」。
つまり、お金や宝石、豊かさといった“目に見える価値”を最優先する女性像を指します。
楽曲の中で彼女は、恋愛感情よりも経済力を重視する姿勢を隠そうとしません。甘い言葉よりも現実的な保障。ロマンよりも確かな富。「愛より現金」という徹底したスタンスを、軽快でポップなメロディに乗せて堂々と宣言しています。
ミュージックビデオでもその世界観は強調されます。
豪華なセット、輝くジュエリー、男性たちから贈られる贅沢なプレゼント。まるで“成功と富に囲まれたヒロイン”を体現するかのような演出です。しかしそれは単なる拝金主義の賛美ではなく、80年代という消費社会の頂点を迎えた時代背景と深く結びついています。
バブル前夜の高揚感、ブランド志向、成功への憧れ。その価値観をあえて極端に演じることで、マドンナは自らを時代の象徴へと押し上げました。
この曲は単なるラブソングではありません。
物質と愛情、理想と現実、その間で揺れる人間心理をポップに切り取った一作です。だからこそ、今あらためて聴いても、どこか挑発的で、どこか皮肉めいた余韻を残すのです。
華やかさの裏にある、もうひとつの感情
きらびやかな宝石に囲まれ、「愛より現金」と歌うマドンナ。
その姿は圧倒的に自信に満ち、欲望に正直で、どこか挑発的です。けれど、映像を最後まで見たとき、ほんのわずかに空気が変わる瞬間があることに気づきます。
豪華な世界の中心に立ちながら、彼女は本当にその価値観だけで動いているのか。ダイヤモンドの輝きは確かに眩しい。しかし、それは永遠に心を満たすものなのか――そんな問いが、静かに差し込まれます。
重要なのは、大げさなドラマが起きるわけではないことです。劇的な裏切りも、派手な展開もない。ただ、視線の向きが少し変わる。その“わずかなズレ”が、この作品を単なる拝金主義ソングで終わらせていません。
Material Girlは、物質を選ぶ女性の宣言であると同時に、「人は本当に何を求めるのか」というテーマも内包しています。富は安心を与えます。成功は自信を与えます。しかし、それとは別の種類の豊かさも確かに存在する。そのことを、最後の静かな空気が示唆しているのです。
だからこそ、このMVは一度目より二度目のほうが面白い。
華やかさの裏にある微妙な感情の揺れに気づいたとき、「Material Girl」という言葉の意味が少しだけ変わって見えてきます。お金を愛する女性の物語ではなく、自分の価値をどう定義するかという物語として。
そして、その答えは、はっきりとは語られません。だからこそ”深く残る”ものがある。

