「将又(はたまた)」とは何か――意味と使い方を丁寧に整理する
文章を読んでいて、「将又(はたまた)」という言葉に出会い、意味は何となく分かるものの、正確な使い方に自信が持てないと感じたことはないでしょうか。日常会話ではあまり使われない一方で、評論文やコラム、やや硬めの文章では今も頻繁に登場します。
本記事では、「将又」という語の基本的な意味から、語源、具体的な使い方、関連語や似た表現との違いまでを体系的に整理します。曖昧な理解のまま使ってしまうことを避け、伝わりやすい日本語表現を身につけることを目的とします。
基本の意味
「将又(はたまた)」は、複数の可能性や選択肢を並べて提示する際に用いられる副詞です。基本的には「それとも」「あるいは」と近い意味を持ち、文中で話題を分岐させる役割を果たします。
特徴的なのは、単なる選択肢の提示にとどまらず、「どちらなのか分からない」「判断がついていない」という話し手の含みを伴う点です。そのため、断定を避けたい場面や、読者に思考を促したい文章で多用されます。
また、「将又」は口語よりも文語寄りの表現であり、改まった文章や論考的な文脈で使われることが多い点も重要な特徴です。
成り立ち・語源
「将又」は漢字表記からも分かるとおり、「将(まさ)に〜せんとする」「これから起こる可能性」といった意味を含む「将」と、「また」「さらに」を意味する「又」から構成されています。
この組み合わせにより、「こちらの可能性か、あるいは別の可能性か」という、未来に向けた分岐や推測を示す表現として定着しました。古くは漢文調の文章や公的文書、学術的文章の中で用いられることが多く、現代でもその名残を感じさせる硬質な語感を持っています。
そのため、感情を強く込める表現というよりは、論理的・整理的に状況を提示するための言葉として発展してきたと考えられます。
使い方と例文
「将又」は、主に文中で二つ以上の事柄を並列・対比させる際に使用されます。接続助詞のように使われますが、文頭・文中どちらにも置くことができます。
例文をいくつか見てみましょう。
・彼の沈黙は同意の表れなのか、将又、単なる戸惑いに過ぎないのか。
・これは偶然の一致なのか、将又、必然的な結果なのだろうか。
・改革は成功への一歩か、将又、新たな混乱の始まりか。
これらの例から分かるように、「将又」は問いかけや問題提起と非常に相性が良く、文章に思考の余白を持たせる効果があります。
熟語・関連語
「将又」と意味や使い方が近い語としては、以下のような表現が挙げられます。
・あるいは
・それとも
・もしくは
・または
これらはいずれも選択肢を提示する語ですが、「将又」はその中でも特に文語的で、思索的・評論的な文章に適した表現です。
また、「将に〜せんとする」という「将」の用法とも思想的に近く、「可能性」「分岐」「未確定」というニュアンスを内包している点が特徴的です。
似た言葉との違い
「将又」と「それとも」「あるいは」の違いで最も大きいのは、文体と語感です。「それとも」は会話でも自然に使えますが、「将又」は会話で使うとやや硬く、不自然に聞こえる場合があります。
また、「あるいは」は事務的・中立的な印象が強いのに対し、「将又」には思考の揺れや問題提起の含みが残ります。読者に考えさせる余地を残したい場合、「将又」を選ぶことで文章の深みが増します。
この違いを意識せずに使うと、文脈に合わない印象を与えるため、用途の見極めが重要です。
まとめ
「将又(はたまた)」は、複数の可能性を並べつつ、判断を保留するニュアンスを持つ文語的な副詞です。論考やコラムなど、読者に思考を促す文章で特に力を発揮します。
意味や語感を正しく理解し、他の類似表現と使い分けることで、文章表現の精度と説得力は確実に高まります。単なる言い換えではなく、文全体の意図に即した選択を心がけることが重要です。


